Wednesday, July 06, 2016 5:44 PM

「英離脱問題の不安再燃」 止まらぬ余震、投資家動揺

 英国の欧州連合(EU)離脱問題の余震が止まらない。動揺した投資家は安全資産とされる主要国の国債や円、ドルに資金を移し、東京市場では円高株安と長期金利低下の流れが加速した。年明け以降の市場混乱は企業や消費者の不安感も招き、日銀による大量の資金供給でも物価低迷が続く。安倍政権が掲げてきたデフレ脱却は一段と遠のいている。

 きっかけは混乱の震源地での新たな動きだった。「この解約の多さでは、取引を一時的に停止することが投資家の利益を保護する最善の方法だ」。英大手不動産ファンドのM&Gインベストメンツは5日、顧客からの解約受け付けを停止したことを明らかにした。EUからの離脱で英国の不動産価格が下がるとみた投資家から資金償還や解約の請求が増加。解約停止は他の不動産ファンドにも広がった。

 5日のロンドン外国為替市場では英ポンドが対ドルで約31年ぶりの安値をつけ、国民投票直後の水準を下回った。欧州市場混乱でイタリアの銀行が抱える巨額の不良債権の拡大も懸念されるなど、離脱問題で投資家が抱えていた不安が現実になってきた。(共同)