Tuesday, July 19, 2016 10:38 AM

ロシア高官が隠蔽主導 実力、将来性で選別

 世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが18日、ロシアのドーピング隠蔽を国家ぐるみと認定した報告書を公表した。報告書は、ロシア・スポーツ省次官が実力や将来性で違反が発覚した選手を選別した上で、選んだ選手の検査結果を操作して違反をもみ消していた実態を明らかにした。スポーツ行政に携わる政府高官が主導的な役割を担っていたことになる。

 ロシアがスポーツを国威発揚のため利用していることが、国ぐるみの異常事態につながった可能性がある。競技の公平性を守るためにドーピング撲滅を目指す国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシアの体質を懸念しており、19日の緊急理事会で処分を検討する。

 報告書によると、ロシアでは2011年以降、モスクワの検査所で陽性反応を示した検体の情報は全て、スポーツ省次官に集約される仕組みが確立された。次官が「救済」を指示した検体についてはWADAに「陰性」と虚偽報告し、それ以上調べなかった。こうした検体の多くはメダリストや有望選手のもので、どの検体を「救済」するかは次官がスポーツ界の有力者やコーチに意見を聞いて決めたという。(共同)