Monday, July 25, 2016 10:33 AM

部品業界、低賃金への不満拡大

 サプライヤーの従業員の間で低賃金に対する不満が高まっている。

 オートモーティブ・ニュースによると、米国内サプライヤーの賃金は2003年以降、インフレ率換算後で25%以上マイナスの1時間当たり約20ドルまで落ち込んでいる。

 シンクタンクの自動車研究所(CAR)首席エコノミスト、ショーン・マカリンデン氏は、業界ブームに取り残されているという感覚がサプライヤー労働者を襲っていると話す。

 業界では、米国からメキシコへの車両や部品の長期的な生産シフトを含め、世界的に低コストのソリューションへの移行が顕著になっている。低賃金への不満は大統領選キャンペーンにも反映され、ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントンの両候補が最低賃金の引き上げを公約に掲げている。

 車両向け振動、騒音、乗り心地(NVH)ソリューションを提供するクリエイティブ・フォーム(Creative Foam)のオハイオ州デイトン工場労働者は6月、米労働関係委員会(NLRB)に陳情書を提出し、最高時給12.75ドルの「ファストフード賃金にうんざりしている」と訴えた。3月には、車軸を製造するデトロイト・シャシー(同州エイボン)の派遣労働者が、賃上げを目指して全米自動車労組(UAW)への加入運動を展開した。

 マカリンデン氏によると、メキシコは平均時給が6ドルに加え、自由貿易協定で世界市場の約半分にアクセスが可能なため、今後も自動車メーカーにとって魅力的であり続ける。このためサプライヤーも、メキシコへの輸送コストを考慮すると現地に拠点を構えざるを得ない。

 マカリンデン氏によれば、ヘッドライナーや座席、大型スタンピングなど長距離輸送が困難な部品サプライヤーの場合、米国内の完成車工場付近で生産を続けるしかないため、労働者が賃上げを勝ち取る可能性が高い。