Friday, August 12, 2016 5:42 PM

日韓、国内説得が課題 少女像移転は長期化も

 日韓間の従軍慰安婦問題が最終決着へ動きだした。岸田文雄外相と尹炳世外相が12日の電話会談で昨年末の合意に基づき、元慰安婦支援の10億円を日本側が速やかに拠出する方針を確認した。ただ、合意を巡っては韓国で「屈辱的」との声が上がり、日本が求めるソウルの慰安婦少女像の移転作業が長期化するとの観測もある。日本側でも「蒸し返される」とする懸念がくすぶり、両政府にとって最大課題は国内説得だ。

 「できるだけ速やかに支出を行えるよう必要な手続きを進めたい」。岸田氏は電話会談後、記者団にこう強調。10億円の使途については「事業のための支出だ。この性格は明らかだ」と説明した。だが8月中に拠出する可能性については「手続きをこれから進める」と述べるにとどめ、拠出条件が整っていないことをうかがわせた。

 安倍晋三首相がリスクを承知で日韓合意に踏み切った背景には「慰安婦問題で日韓の亀裂が深まるほど、歴史問題で韓国を味方に引き入れたい中国と北朝鮮を利する」(外務省筋)との分析がある。(共同)