Friday, August 12, 2016 5:43 PM

「火に油」避け国外へ 苦肉の策で対中配慮

 稲田朋美防衛相が終戦記念日の8月15日、ジブチ訪問のため日本を留守にし、恒例の靖国神社参拝を見送ることになった。沖縄県・尖閣諸島を巡り日中関係が緊張する中、参拝すれば中国に対日非難の口実を与え、火に油を注ぎかねないと判断したためだ。一方で「国内にいて参拝しなければ、外圧に屈したと受け取られる」(自民党筋)との懸念が、稲田氏を外国訪問という「苦肉の策」に走らせたとみられる。

 「心の問題だ。安倍内閣の一員として適切に判断したい」。稲田氏は12日午後、訪問先の航空自衛隊小松基地(石川県小松市)で、記者団から15日に参拝するかどうかを聞かれると、潤んだ目で声を詰まらせながら語った。対中配慮から参拝を見送ることへの悔しさがにじんだ。

 稲田氏がジブチを訪問する考えを周辺に伝えたのは、今月3日の内閣改造で防衛相に就任してから間もない9日。防衛省内では「寝耳に水だ」(幹部)との声が上がった。(共同)