Monday, August 15, 2016 5:45 PM

靖国、竹島問題 首相、摩擦再燃避ける

 安倍晋三首相は今年も終戦記念日に靖国神社を参拝せず、近隣諸国との摩擦再燃を避けた。韓国の国会議員団による島根県・竹島への上陸強行を巡っても抗議以外の対抗措置は取らず、慎重姿勢に徹した。自らの思想信条や一部保守層の思いより、北朝鮮をにらんだ日米韓の協力促進を引き続き重視した形だ。「強硬策を講じれば、日韓を分断したい中国の術中にはまる」(日本政府筋)との警戒感もにじむ。

 「ご英霊に哀悼の誠をささげ、安らかに眠られんことをお祈りした。二度と戦争を起こしてはいけないと、不戦の誓いを新たにした」。首相から玉串料の代理奉納と参拝を指示された西村康稔・自民党総裁特別補佐は15日午前、靖国神社で、自らの心境を記者団にこう語った。この言い回しは、首相が2013年12月に参拝した直後に発表した談話の内容をほぼ踏襲している。西村氏の発言が首相の思いを代弁しているのは間違いない。

 安倍政権内では「首相が在任中に再度参拝すれば、日米韓の協力に影響が出る」(官邸筋)と予測する向きが根強い。13年12月の首相参拝では、米国から「失望した」と批判され、日米関係に変調をきたした。中国に「日本は米国からも相手にされない」(中国紙)と宣伝されたことも、複数の外務省関係者は教訓として受け止める。(共同)