Tuesday, August 16, 2016 10:37 AM

衛星画像を投資分析に活用〜オービタル・インサイト

 人工衛星から撮影した地球の画像を分析して投資家に株取引の参考情報を提供しているオービタル・インサイト(Orbital Insight、カリフォルニア州)はこのほど、靴箱ほどの小さな人工衛星(キューブサット)をこれまでに60個以上打ち上げて衛星画像を撮影しているプラネット・ラブズ(Planet Labs、同)とゲータ供給契約を交わした。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、オービタルは2014年以降、衛星画像の自動分析を基に特定株の値動きを予想しており、現在はいくつかのヘッジファンド大手や投資会社に情報を提供している。分析には、店舗駐車場の車の数の変化から割り出したウォルマート・ストアズ、ターゲットなどの売り上げ予想や、石油貯蔵タンクの浮き屋根の高さに基づく石油在庫の予想、農作物の収穫予想などが含まれ、いずれも統計学的に十分な数の画像を集めて行っている。

 今回の契約で、これまで1〜2カ月ごとだった画像データの更新期間を毎週に短縮でき、プラネット・ラブズが約40個のキューブサットの新規打ち上げに成功すれば、来年から毎日画像が更新されるようになる。元グーグル幹部でオービタル創設者のジミ・クロウフォード氏は「ほぼすべての経済活動は変化にある。衛星画像が毎日入手できるようになればその変化を観察でき、とてつもなく大きな新領域が開ける」と見ている。

 近年ヘッジファンドなどの投資家は、投資決定に影響を与える可能性があるが従来の市場統計や企業の財務報告では得られないこうしたデータの利用を増やしている。しかしこうしたデータは入手しても社内に専門の科学者がいなければ活用が難しい上、衛星画像などはヘッジファンドに提供されるようになってまだ日が浅いため、その価値を検証するための歴史的データが少なく「企業や経済の分析にこうした複雑な方法を使う利点が誇張されている」との見方もある。

 こうした情報の入手にはコストもかかる。プラネット・ラブズはベンチャー投資企業から1億8300万ドルを調達してサンフランシスコ、ベルリン、カナダのレスブリッジに計300人以上を雇用しているほか、キューブサットからデータを集めるための地上基地を20カ所以上持っている。