Monday, December 10, 2018 9:11 AM

革新機構、9取締役辞任 民間出身が異例の総退陣

 官民ファンド、産業革新投資機構の田中正明社長(65)は10日、東京都内で記者会見し、自身や坂根正弘取締役会議長(77)=コマツ相談役=ら民間出身の取締役計9人全員が残務処理後に辞任すると発表した。高額な報酬水準を巡って経済産業省との対立が深まり、機構発足後3カ月足らずで総退陣する異例の事態となった。官民ファンドを成長戦略の一環に掲げる安倍政権にとって痛手となる。

 機構は事実上の機能停止に陥り、次期経営陣の選定は難航が予想される。世耕弘成経産相は問題となった高額報酬を示す書類を機構に提示したことに関し「政府内で確定していないことを示した失態はおわびするしかない」と謝罪した。野党からは世耕氏の責任を問う声が出始めた。

 世耕氏は混乱収拾のため政府と機構の連絡室を設置したとも表明した。第三者諮問委員会も設け、新経営陣を選定して機構の正常化を目指す。連絡室の室長は高額報酬案を提示した糟谷敏秀官房長が兼務する。(共同)