Thursday, March 21, 2019 10:20 AM

サーローさん、法王と対面 「原爆の火」で核廃絶訴え

 ノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めて演説したカナダ在住のサーロー節子さん(87)は20日、バチカンでローマ法王フランシスコの一般謁見に参列し、核兵器廃絶の重要性を訴えた。同席したNPO法人関係者は、福岡県八女市にある広島原爆の「残り火」の火種を移したランプを持参。広島、長崎での悲劇を繰り返さないようにとの願いを込め、法王に火を吹き消してもらったという。

 サーローさんは謁見後に共同通信の取材に応じ、核兵器禁止条約に日本が参加していないことに言及。「法王の平和に向けた強い言葉によって日本政府を動かしてほしい。それがわれわれ被爆者の願いだ」と強調した。対面中、法王はサーローさんの言葉にじっと耳を傾けていたという。被爆の惨状を世界に知らしめた米国人作家、故ジョン・ハーシー氏のルポ「ヒロシマ」も手渡した。

 一般謁見には、母方の祖母が被爆した長崎県長与町の純心中1年岡田夕咲さん(13)も参列。サーローさんらのバチカン訪問は、平和な世界の実現を目指すNPO法人「アースキャラバン」(京都市)が企画した。(共同)