Thursday, May 23, 2019 10:23 AM

広がるユダヤ人差別に警鐘 杉原千畝しのび息子ら

 第2次大戦時にナチス・ドイツの迫害から逃れようとしたユダヤ人に日本への査証(ビザ)を発給し「東洋のシンドラー」と呼ばれた外交官・杉原千畝(1900〜86年)の四男、伸生さんが22日、ニューヨークで開かれた千畝をしのぶイベントに登壇し、ユダヤ人差別が広がる現在の米国社会に警鐘を鳴らした。

 イベントはユダヤ人遺産博物館で開かれた。リトアニアで千畝に「命のビザ」を発給されて米国に逃れた生存者や子孫らが、ビザのスタンプが押された旅券のコピーや両親が横浜まで運んだスーツケースなどを手に集まった。13歳の時にビザを発給されて生き延びたジャック・ジャグロムさん(92)が「命のビザがなければこうして生きていなかった」と発言すると、ほかの子孫らからも「私の親族200人も(この世に)いなかった」などと次々と感謝の声が上がった。

 会場から「本国の命令に背いてまでなぜビザを発給したのか」との質問が上がり、伸生さんは「(父は)目の前にいる困った人を放置できなかった」と説明。満州・ハルビンで日本軍の兵士が中国人を残酷に扱うのが許せなかったことが人道主義の原点だと語った。(共同)