Thursday, May 23, 2019 10:26 AM

特殊詐欺、組トップに責任 暴対法、威力利用初適用

 指定暴力団住吉会系の組員らによる特殊詐欺の被害者が、住吉会の関功会長と福田晴瞭前会長に計約700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁は23日、組員が住吉会の威力を利用して「受け子」を集め、詐欺グループを構成したと認定、会長らは暴力団対策法上の使用者責任を負うとの判断を示し、605万円の支払いを命じた。

 暴対法は2008年施行の改正で、指定暴力団の組員が威力を利用した資金獲得行為で他人の生命や身体、財産を侵害した場合、トップらが損害賠償責任を負うと規定。原告側代理人によると、特殊詐欺で暴力団トップにこの暴対法の使用者責任を適用したのは全国で初めて。24日には東京地裁で同種訴訟の判決が予定されており、同様の判断が定着し、被害者救済の新たな道筋が開かれるかが注目される。

 前田英子裁判長は判決理由で、組員が被害者に直接威力を使わなくても、共犯者集めなど犯罪実行までの過程で威力を利用していれば、使用者責任が生じると指摘。今回の事件では、組員が暴力団員として恐れられていることを利用して知人の男に受け子を探させ、詐欺を実行したことから、会長らは「損害を賠償する責任を負う」とした。(共同)