Friday, May 31, 2019 10:29 AM

弾圧の記録、写真2000枚 天安門30年で新たに公開

 中国当局が1989年に民主化運動を武力弾圧した天安門事件で、当時の天安門広場など現場の様子をとらえた約2000枚に上る写真が30日までに新たに見つかった。中国政府は事件について詳細な経緯を明らかにしておらず、6月4日で発生から30年を迎えて風化も進む。これだけの規模で新たな記録が公開されるのは異例で、事件の過程を克明に記した貴重な資料といえそうだ。

 写真を撮影したのは北京市出身で現在は米国在住の劉建さん(51)。89年4月16日ごろから、武力弾圧が起きた6月4日までの約50日間、大勢の学生で埋め尽くされた天安門広場や、銃を掲げた兵士らに語りかける市民、当局との衝突で負傷したとみられる人を運ぶ人たちなどが、カラーと白黒で鮮明に写されている。

 当時学生で写真が趣味だった劉さんは自転車で天安門広場や北京大に通い、民主化を求める学生や市民、労働者らの表情をカメラに収めた。「中国で起きた歴史的な出来事を記録しようと夢中だった」と劉さん。だが当局は6月3日夜に制圧を開始。劉さんは自宅近くの病院で二十数体の若者の遺体や大勢の負傷者を目にした。(共同)