Friday, May 31, 2019 10:30 AM

録音録画、捜査機関に責務 改正刑訴法が施行

 裁判員裁判事件と検察の独自捜査事件について、取り調べの全過程の録音・録画(可視化)を義務付ける改正刑事訴訟法が6月1日、施行される。可視化の試行に取り組み、範囲を順次広げてきた捜査機関は今後、法的責務を負う。冤罪の温床と批判された密室での取り調べからの転換点となるが、取り調べの様子を記録した映像の公判での扱いや、可視化の拡大が課題として残る。

 捜査のために電話やメールを傍受する際、通信事業者の立ち会いが不要になる改正通信傍受法の規定も施行。事業者の施設に行かずに、専用回線で結ばれた警察本部での傍受が可能となる。活用の幅が広がる一方、適正さを担保し、乱用への懸念をどう払拭するかが問われそうだ。

 両改正法は大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽事件を受けて発足した「検察の在り方検討会議」や法制審議会で議論され、2016年5月に成立。同年12月に通信傍受の対象犯罪が追加され、18年6月に他人の犯罪解明に協力する見返りに自分の刑事処分を軽くしてもらう司法取引が導入されるなどしており、今回で全面施行となる。(共同)