Friday, June 07, 2019 10:47 AM

米、為替絡め日本に圧力 赤字削減へ「円安封じ」

 日本が20カ国・地域(G20)の議長として自由貿易の機運を取り戻そうとするのをよそに、トランプ政権は為替問題も絡め、貿易赤字削減に向け圧力を強めている。円安による輸出拡大を警戒し、交渉中の対日貿易協定で通貨安誘導を封じる「為替条項」の導入を要求。自動車貿易まで米国の安全保障の脅威とみなすなど、なりふり構わない内向き志向が目立つ。

 雇用拡大を重視するトランプ米大統領にとって、為替は通商交渉の主要議題の一つだ。輸出に不利なドル高を嫌い、メキシコとカナダと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定では「為替介入を含む競争的な通貨切り下げを自制する」との条項を押し込んだ。これをひな型として対日協定にも「確実に盛り込みたい」とムニューシン米財務長官は話す。

 5月末に公表した外国為替報告書は中国と並んで日本を「監視対象」に指定した。自国通貨を割安にする国からの輸入品にも相殺関税を課せるようルールを変更。通商・為替をセットにする異例の対応を当然視する米政権に対し、日本は切り離しを求めており、近く開く日米財務相会談でも平行線をたどりそうだ。(共同)