Monday, June 10, 2019 10:18 AM

ハラスメントを全面禁止 ILO、条約案採択へ

 国際労働機関(ILO)の年次総会が10日、スイス・ジュネーブで開幕した。職場でのセクハラやパワハラなどハラスメントを全面的に禁止した条約案を討議、21日までの会期中に採択する見通しだ。日本は国内法との整合性の関係で、賛否を未定としている。

 総会の冒頭、ILOのライダー事務局長が演説し、性被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)運動などが世界的に広がる中、条約案を採択できれば「ハラスメント行為への対抗手段となる」と述べ、初の国際基準を制定する重要性を強調した。11日には推進派の欧州からフランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相が演説する予定だ。

 総会には日米など加盟187カ国の政府・労働者・使用者代表が参加。条約案の審議は委員会で行われる。会議筋によると、制定自体に反対の声はほとんどなく、焦点は条約の内容。使用者が負う責任の範囲や、性的少数者(LGBT)の保護に言及するかどうかなどが対立点になるとみられる。全会一致できない場合、採決に持ち込まれる。採択には3分の2の賛成が必要。(共同)