Tuesday, June 11, 2019 10:36 AM

老後報告書受け取り拒否 政権、参院選へ影響回避

 95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要だと試算した金融庁金融審議会の報告書に関し、菅義偉官房長官は11日の記者会見で「政府として正式な報告書としては受け取らない」と述べた。諮問した麻生太郎金融担当相も閣議後記者会見で同様の意向を表明。夏の政治決戦となる参院選への影響を回避する狙いだ。報告書が実質的な撤回に追い込まれる異例の展開となり、金融庁は大幅に修正する検討に入った。

 選挙に不都合な指摘を封じ込めようとする安倍政権の姿勢に、報告書をまとめた市場ワーキング・グループ(WG)の委員からは「残念だ」と批判の声も上がった。

 金融庁は11日昼までに、麻生氏の受領拒否の意向をWGの委員にメールなどで通知した。金融庁幹部は取材に対し「文言を修正して提出する可能性はあるが、麻生氏が受け取らないかもしれない」と述べた。(共同)