Thursday, October 24, 2019 10:30 AM

人道上の「懸念」削除 政府、核削減策にも触れず

 日本政府が今月、国連総会第1委員会(軍縮)に提出した核廃絶決議案の内容が24日明らかになった。昨年まで記載されていた核使用の非人道的な結末に対する「深い懸念」という文言が削除され、米露の新戦略兵器削減条約(新START)の履行促進など具体的な核削減策に触れていない。決議案は1994年から毎年提出しており、今年も11月以降に採択される見通し。核軍縮を巡る国際環境の悪化を反映し、日本の非核政策の後退が鮮明になった。

 外務省は「来春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功へ向け、亀裂が深まる核保有国と非保有国の共通の基盤を探ろうとした」と説明するが、専門家は「被爆国が核削減に言及しないのは問題だ」としている。

 決議案は、NPTが来年発効50年を迎えることを念頭に、加盟国が「核廃絶の究極的目標」に関与する必要性を確認。昨年に続き、核軍縮義務を定めたNPT第6条履行の重要性も明記した。(共同)