Wednesday, November 27, 2019 9:16 AM

大震災被災の女川「合格」 安全対策費膨らみ3000億円

 原子力規制委員会は27日の定例会合で、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に必要な安全対策をまとめた審査書案を了承した。これにより事実上、審査に合格したこととなり、東日本大震災の被災原発としては日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)に続き2基目。国内の原発で最も高い防潮堤(海からの高さ29メートル、総延長800メートル)を建設中だ。審査には2013年12月の申請以来、約6年を要し、これまでに合格した原発では最長。安全対策費は当初の想定を超える3400億円程度に膨らんだ。

 今後の意見公募などを経て数カ月後に正式合格の判断となる見通し。実際の再稼働は安全対策工事が終了する予定の20年度より後と見込むが、立地自治体から再稼働への同意を得る必要がある。この手続きを巡っては、女川原発で重大事故が起きた場合の住民避難計画に実効性がないとして、宮城県と石巻市に再稼働に同意しないよう求める仮処分を石巻市民が仙台地裁に申し立てており、難航も予想される。

 宮城県、石巻市、女川町の首長3人はいずれも取材に、再稼働への賛否を明らかにしなかった。(共同)