Wednesday, January 08, 2020 9:47 AM

「心神喪失」と無罪主張 障害者施設45人殺傷初公判

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)は8日、横浜地裁の裁判員裁判初公判で起訴内容を「(間違い)ありません」と認めた。弁護側は「事件当時、精神障害があり、心神喪失か心神耗弱」と無罪を主張。障害者が狙われ、19人もの死者を出した事件の公判は、刑事責任能力の有無や程度を争点に始まった。

 弁護側の無罪主張後、植松被告は「皆さまに深くおわびします」と謝罪した。その直後、右手の小指をかみ切ろうとしたため、青沼潔裁判長が退廷させた。休廷を挟み、被告不在のまま公判が続けられた。

 冒頭陳述では、動機とみられる「意思疎通のできない人を殺した方がいい」という被告の差別発言を巡って主張が展開された。検察側は「園での勤務経験を経るうちに、入所者は不幸を生み出すのでいらないと思った。正常心理の範囲内で、病的な妄想ではなく、単なる特異な考え方」と述べた。弁護側は「被告は大麻精神病により本来の人格ではなく、別人になった結果、事件が起きた」と訴えた。(共同)