Wednesday, January 15, 2020 9:40 AM

原発再稼働・維持に13兆円 安全強化の新基準導入で

 東京電力福島第1原発事故の反省から、国が原発に安全対策の強化を義務付けた新規制基準を2013年に導入したことにより、全国の商用原発で必要となった再稼働のための安全対策費と、施設の維持費、廃炉費用の総額が約13兆4569億円に上ることが15日、分かった。費用はさらに膨らむ見通しで、最終的には電気料金に上乗せされるため長期の国民負担となる。合わせて19原発57基を保有する電力11社の会計資料や、各社への聞き取り結果を共同通信が集計した。

 政府は、未曽有の被害をもたらした11年3月の事故後も原発存続を選択し、自然災害や重大事故への対策強化を義務付けた新基準を導入。停止した原発を維持し、新基準が求める安全対策の工事を行い再稼働させるか、採算に見合わず廃炉とするかの選別が全国で進む中、巨額費用が必要な実態が浮き彫りになった。

 総費用の内訳は、安全対策費が計約5兆4044億円(19年12月時点)で、全国19原発のうち電力会社が再稼働を目指すとした15原発の公表額。廃炉費用は、安全対策費の負担が重く廃炉を決めた9原発17基の計約8492億円で、福島第1原発1〜4号機は費用算定が異なるため除外した。安全対策と廃炉の各費用は電力各社が長期に分割して賄う。(共同)