Monday, January 27, 2020 9:13 AM

精巧偽動画、政治揺るがす AI駆使し半年で倍増

 【ブリュッセル共同=小熊宏尚】人工知能(AI)技術を使い極めて精巧に作られた偽動画「ディープフェイク」が、インターネットで世界に浸透しつつある。政治家の行動や発言をでっち上げた映像が拡散し、マレーシアでは偽物の可能性がある動画が内政を揺るがした。大統領選を控えた米国では、関係者が神経をとがらせている。

 オランダの情報セキュリティー企業ディープトレイスが2019年9月に公表した報告書によると、ディープフェイク動画は加工に必要なツールの入手が容易になったことから、18年12月の約8000件から半年余りで約1万5000件にほぼ倍増。96%がポルノだった。米英や韓国など世界中の著名な女優や女性ミュージシャンが被害に遭った。

 マレーシアでは19年6月、マハティール首相側近のアズミン経済相が男性と同性愛行為をしている場面とされる動画が拡散し、ライバル政治家の部下が自分が相手だと名乗り出た。マレーシアで同性愛行為は違法。当局は映像は本物だとしたが、マハティール氏やアズミン氏は偽物だと主張。同社はディープフェイクだとして関係者に助言した。首相後継レースが背景にあるとされる。