Tuesday, January 28, 2020 9:20 AM
IBM、ワトソンを料理人から工学者まで広範に売り込み
IBMは、人工知能のワトソン(Watson)を活用して幅広い業界や業種に人工知能機能をクラウド経由で提供するサービスに注力している。
シアトル・タイムズによると、同社はこれまでに45ヵ国の20業種で2万社近くのワトソン利用会社を獲得した。
対象とする業界の多様さは、サンフランシスコにある同社の実演施設「IBMワトソン・エクスペリエンス・センター」を訪れるだけでも容易に見て取れる。同施設の大きなスクリーンには、顧客と想定されるさまざまの職種の人物像が等身大で映し出されている。
「どんな業界であれ人工知能の使い道がある」と、同センターの案内役を務めるユーニク・ニボ氏は説明する。たとえば、レストランであれば、どんな調理器具に投資すべきか、どんな食材をメニューに取り入れるべきかといった意思決定を人工知能が支援できる。
工学サービスを法人向けに提供するノヴェイト・ソリューションズ(Novate Solutions)は、ワトソンを6ヵ月前に導入し、顧客会社による生産システムのデータ分析に役立てている。「人間は自分の興味のある傾向を探そうとするため、明らかなパターンに気づかないことがある」と、同社のロブ・モラ上席副社長は話す。
ノヴェイトのサービスを使っているあるワイン農園では昨秋に、多額の損失計上をワトソンによって防ぐことができた。発酵タンクの冷却水の温度が下がっていることをワトソンのシステムが指摘したためだ。
IBMの人工知能技術は、冷蔵輸送トラックの温度を監視して世界規模での供給網の管理を支援したり、ソーシャル・メディアの投稿を自然言語処理機能で分析して不評が立っていることを企業に知らせたりする目的でも使われている。
ただ、IBMの人工知能は、フィリピンのダバオ市で警察機関による数百人の暗殺活動に使われたという報道もある。IBMの広報担当者は、IBMが同市に顔認識機能を提供したことはなく、ほかの人工知能機能も現在では提供していない、と説明した。
【https://www.seattletimes.com/business/technology/ibms-watson-center-pitches-ai-for-everyone-from-chefs-to-engineers/】