Monday, March 23, 2020 10:23 AM

シリア避難民に感染危機 手洗い困難、テントで密集

 【カイロ共同】内戦中のシリアの避難民に新型コロナウイルスの感染が広がる危険性が指摘されている。反体制派の最後の拠点、北西部イドリブ県では、アサド政権の攻勢で100万人近くの避難民がトルコ国境近くに身を寄せる。劣悪な医療体制に加え手洗いのための水不足、密集したテント生活などで感染防止に十分な距離を取りにくいなど悪条件がそろう。

 ニューヨーク・タイムズが23日までに伝えたところによると、イドリブ県のキャンプでは一つのテントに十数人が身を寄せている状況が見られる。支援団体幹部は「週に1回も手を洗えない子どもがいる」と指摘したという。

 シリアのアサド政権は22日、支配地域での初の感染例を報告した。一方、シリア人権監視団(英国)は、ダマスカス県など各地で感染者が多数見つかっているが、政権側が医療関係者に口止めしていると主張する。シリアは2万人以上の感染者を出しているイランと交流があり、イラクやレバノンなど周辺国でも感染者が増加。反体制派地域も含めた各地で感染が広がっている恐れがある。