Friday, May 22, 2020 10:31 AM

「科学の誤り」と責任転嫁 英閣僚、コロナ失策問われ

 【ロンドン共同】新型コロナウイルスの被害が深刻な英国で、感染対策の失策を追及された閣僚が、政府に助言する科学者らの「誤り」を示唆し、責任転嫁と取れる発言だとして物議を醸している。政府が政策の根拠として「科学」を前面に掲げてきた経緯もあり、科学者団体などは「不確定要素もあって(助言の)ミスは避けられない。最終決断をするのは政府だ」と反発している。

 英国は感染に伴う死者が3万6000人を超え、米国に次ぐ世界2位。最近は介護施設で多数の犠牲者が出たことが問題視されている。コフィ雇用・年金相はテレビ番組で、政府の対応の遅れを追及され「当初の科学的助言が間違っていたのなら、政府が誤った決断をしたと皆が思うのも無理はない」と応じた。

 これに対し、18世紀にニュートンも会長を務めた権威ある英科学者団体、王立協会のラマクリシュナン会長は英紙の取材に「率直な助言が後に非難を浴びかねないと科学者が感じる状況」を痛烈に批判。政府内からも「連携すべき時に批判するのは非生産的」(別の閣僚)との声が上がった。