Friday, June 05, 2020 10:03 AM

外国投資に承認義務付け 豪安全保障部門、中国念頭

 【シドニー共同】オーストラリア政府は5日、通信やエネルギー、港湾など安全保障に絡む部門への外国からの投資について、来年1月から規模にかかわらず外国投資審査委員会の承認を義務付ける方針を明らかにした。ここ数年間、影響力を強めてきた中国が念頭にあるとみられる。

 オーストラリアでは2015年、米海兵隊も巡回駐留する軍事上の要衝、北部ダーウィンの港湾を中国の企業「嵐橋集団」が99年間、約5億豪ドル(約380億円)で借りた問題が波紋を広げた。18年には「第5世代(5G)」と呼ばれる高速大容量通信網の整備に、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の参入を禁じるなど、オーストラリア政府は中国の影響力の排除に躍起となっている。

 これまでは日本や米国、中国など自由貿易協定の締結国の企業からは12億豪ドル以上、それ以外の国は2億7500万豪ドル以上の投資となる場合に審査委の承認が必要だった。今後は投資完了後でも、安全保障上の懸念が生じた場合、財務相が出資の引き揚げなどを命じることも可能となる。