Tuesday, July 21, 2020 10:27 AM

黒人失業率を政策目標に FRBで議論活発化か

 【ワシントン共同】新型コロナウイルス感染症による失業問題が深刻化する米国で、黒人の失業率改善を政策目標にすべきだという声が上がっている。中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は事実上のゼロ金利政策の解除に向けて失業率などの数値目標を設定する方向で検討。白人警官による黒人男性暴行死事件を受けた「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」と訴える抗議運動に注目が集まる中、議論が今後活発化しそうだ。

 背景には人種による格差拡大がある。失業率は4月から6月にかけて、全体では14.7%から11.1%へと3.6ポイント低下したが、黒人は16.7%から15.4%へと1.3ポイントしか下がっていない。FRBのパウエル議長らも、新型コロナが黒人やヒスパニック系、女性などの労働者により大きな打撃を与えていると繰り返す。

 シンクタンク「予算・政策優先決定センター」は2日、景気回復により失業給付などの支援が打ち切られた場合に、黒人労働者が最も深刻な影響を受けると警告。全体的な失業率を見ただけでは隠れてしまう可能性があるとして「黒人の失業率に絞った目標を立てるべきだ」と提言した。