Monday, July 27, 2020 10:40 AM

政府、対立激化を懸念 米中双方との距離課題

 日本政府は27日、相手国の総領事館を互いに閉鎖した米中両国の全面対立に懸念を強めた。米国と足並みをそろえ過ぎれば中国の反発を招き、経済面で深く結び付く中国に傾けば日米同盟に悪影響を及ぼすとのジレンマを抱えるためだ。「米中双方との距離をいかに維持し、日本の平和と安定を担保するか」(政府筋)が課題になる。

 菅義偉官房長官は記者会見で、米中対立について「世界第1位、第2位の経済大国である米中両国の関係は国際社会にとって極めて重要だ」と述べ、情勢悪化を望まない考えを示唆。「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、国際協調の重要性は高まっている」とも述べた。中国寄りだとして世界保健機関(WHO)に脱退を通告した米国の動きを念頭に置いた発言とみられる。

 米中対立が激化するほど、かじ取りは難しくなると見る向きは、政府内に根強い。背景には「米国との強固な信頼関係の下に(日米)協力を進めながら、中国とも意思疎通を図る」(菅氏)とした従来のバランス外交路線が通用せず、「踏み絵」を迫られるとの危機感がある。(共同)