Wednesday, August 05, 2020 10:27 AM

前国王の居所「情報ない」 スペイン首相、出国を尊重

 【パリ共同】スペインのサンチェス首相は4日の記者会見で、金銭スキャンダルを受け、前国王フアン・カルロス1世(82)が国外への移住を表明したことに関し「疑問を持たれる行為と距離を置く王室の決断を完全に尊重する」と述べた。前国王の居場所については「情報は得ていない」と答えた。

 現政権に近いパイス紙によると、現国王フェリペ6世は、強制ではなく自発的に国を去る形にすることで政府や前国王と合意したという。サンチェス氏の連立政権に参加する急進左派ポデモスは出国を非難。記者会見では政府の関与を問う質問が相次いだが、サンチェス氏は「国家元首と首相のやりとりは秘密だ」と繰り返した。

 前国王はサウジアラビアでの高速鉄道建設計画で、スペイン企業の受注を巡る不正な金銭授受疑惑に関わった疑いでスペイン検察の捜査対象となった。サウジ王室から1億ドル(約106億円)を受け取り、6500万ドルを愛人に譲ったとも報じられ、大きなスキャンダルとなった。