Wednesday, September 02, 2020 10:16 AM

血漿治療「データ不十分」 緊急許可の米で慎重評価

 【ワシントン共同】米国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会は1日、新型コロナウイルス感染症の患者に回復した人の血液成分「血漿」を投与する治療法は、有効性などのデータが不十分で標準的な手段と考えるべきでないとする声明を公表した。

 食品医薬品局(FDA)が8月に入院患者への緊急使用を許可したが、米政府内の別の保健当局が慎重な評価を突き付けた。FDAの許可に当たりトランプ大統領は記者会見で「強力な治療法だ」と称賛した。詳しい根拠は示されず、11月の大統領選への政治的アピールとの懸念もあった。

 NIHの委員会は声明で、これまでの研究から血漿中の抗体の濃度が高くても低くても重症者の7日後の生存率に違いはないと指摘。投与しないより有益な可能性はあるが、有効性と安全性は臨床試験を経ておらず不確かだとした。