Thursday, September 24, 2020 10:08 AM

フリアーとVSI、AEB改善で協力

 赤外線カメラ技術大手のフリアー・システムズ(FLIR Systems、オレゴン州)とアクティブセーフティー(予防安全)技術やAV技術を研究するVSIラブズ(VSI Labs、ミネソタ州)は、現在認可されている検査手順に含まれていない実際の運転条件下で、自動緊急ブレーキ(AEB)システムの性能テストを共同で実施した。

 フリアーによると、テストはミシガン州イプシランティの試験場アメリカン・センター・フォー・モビリティー(ACM)で行われ、現行のAEBシステムが、熱センサーの追加や、レーダー、可視センサー、訓練されたニューラルネットワーク(脳の神経細胞をモデルにした情報処理システム)のデータ融合によって歩行者検出機能を改善できることが分かった。

 具体的には、歩行者の衣服が背景に溶け込んでいる、日光がまぶしい、夜間に駐車している車の背後から子供が道路に出てくる…といった厳しい状況での性能が大幅に向上した。

 実施したテストは、標準的な欧州の新車安全性評価基準(ユーロNCAP)と、現在はテストされていない実際の運転局面を模倣する5つの補足テストの2種類。条件はユーロNCAPに準拠し、外気温が5℃を上回る晴れた日に、標準的な加熱されて柔らかい歩行者ターゲット(SPT)を使って行われた。

 VSIは、SPTに白と濃い色の特大サイズの服を着せたほか、車がトンネルを出るときに周囲の照明を劇的に変化させて太陽の光がまぶしい状況を作り出した。夜間テストでは、子供と大人のSPTが暗闇の中で駐車中の車の背後から車道に出てくる状況を設定した。

 歩行中の交通事故死者数は世界的に増え続けている。運輸省道路交通安全委員会(NHTSA)によると、米国では2017年に6000人以上の歩行者が自動車事故で死亡したが、その約75%は夜間に事故に遭っており、昼間の21%、夕暮れ時の2%、夜明けの2%を大幅に上回る。

 事故を起こしそうなのにドライバーがブレーキペダルを踏まなかった場合、代わってブレーキを利かせるAEBシステムは、事故の削減に効果的なことが証明されているが、米自動車協会(AAA)は19年の報告書で、現在利用可能なAEBシステムには欠点があり、夜間は十分な効果がないと指摘している。

https://www.flir.com/news-center/camera-cores–components/improving-automatic-emergency-braking-with-flir-thermal-imaging/