Friday, October 30, 2020 10:10 AM

国策ジェット開発凍結発表 三菱重工、人員大幅縮小

 三菱重工業は30日、国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)の事業を凍結すると発表した。2021年度から3年間の中期経営計画で「いったん立ち止まる」と説明した。新型コロナウイルス感染拡大が直撃し、納入先の航空会社の需要が見込めないためで、人員や投資額を大幅に縮小する。官民が一体となった約半世紀ぶりの国産旅客機の開発は頓挫。環境が改善しなければ撤退となる可能性もあり、雇用創出や技術革新を期待した政府の成長戦略にも痛手となりそうだ。

 泉沢清次社長はインターネットによる記者会見で、開発が大幅に遅れ、凍結に追い込まれた理由を「ノウハウや経験が欠けていた」と説明。「構造改革は喫緊の課題だ」として、今後はスペースジェット事業を自社の成長分野から除外すると明らかにした。民間航空機事業などの従業員のうち、3000人規模を配置転換や社外への出向で縮小する方針も示した。

 スペースジェットの開発費は21年度からの3年間で計200億円に減らす。18〜20年度の計3700億円から大幅な圧縮となる。運航に必要な国の安全認証「型式証明」の取得作業は継続するが、飛行試験は当面行わないとした。(共同)