Monday, November 16, 2020 9:23 AM

「反保護主義」明示せず G20首脳宣言、合意優先

 20カ国・地域(G20)が21、22日にオンライン開催する首脳会合(サミット)の共同宣言に、反保護主義を明示する記述を引き続き盛り込まない方向で調整していることが16日、分かった。大統領選でバイデン前副大統領が勝利を確実にし、国際的に協調重視の機運は高まっているが、今回のG20サミットでは自国第一主義を掲げたトランプ現政権の影響が残る形となる。

 首脳宣言では、気候変動への取り組みでも踏み込んだ言及を避ける見通し。一方、新型コロナウイルス対応ではワクチンや治療薬の開発を見据え、世界全体に素早く普及させることの重要性を確認。経済悪化に苦しむ途上国を念頭に、特許使用料の軽減に連携して取り組む姿勢を打ち出す。債務を一部免除する支援策の完全な実施でも一致する。トランプ政権下の現時点で合意できる分野を優先する。

 G20首脳宣言では、貿易不均衡の是正へ制裁関税も辞さない強硬姿勢を取るトランプ大統領が参加した2017年以降、反保護主義を巡る記述が後退。17年は「保護主義との闘いを続ける」との文言を盛り込んだ上で、不公正な貿易相手国に対する対抗措置を容認。18、19年は米国に強く配慮し、反保護主義に類似する文言を見送った。(共同)