Wednesday, November 01, 2023 7:03 AM

米自動車業界団体、クリーブランドクリフスの同業買収に反対表明

 大手自動車メーカー、部品会社、技術系企業が加盟する米国自動車イノベーション協会(AAI)は10月31日、鉄鋼大手クリーブランド・クリフス(Cleveland-Cliffs、オハイオ州)による同業USスチール(ペンシルベニア州)の買収案に反対すると表明した。買収はコスト上昇につながり、電気自動車(EV)の販売を減速させると考えられるためという。

 ロイターによると、ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ、フォルクスワーゲン(VW)、現代(ヒョンデ)などを代表するAAIは、連邦議会と米規制当局に宛てた書簡の中で、自動車の構造フレームやドア、ボンネット、フェンダー、電気自動車(EV)用モーターなどに使われる鉄鋼の生産において、両社が統合すると市場シェアは圧倒的になると指摘した。

 AAIのジョン・ボゼラCEOは書簡で、合併は「材料と完成車の両方で業界全体のコストを上昇させる」と述べ、「電磁鋼板(e-steel)」として知られるEVモーター用高級鋼材では100%が合併会社の占有になると指摘。「米国内で電磁鋼板の生産競争がなければ、自動車メーカーは材料コストの上昇に直面し、最終的には顧客にとってEV完成車のコストが上昇する可能性がある」と推測した。

 書簡は、連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長と司法省のジョナサン・カンター反トラスト局長にも送られた。

 いずれの鉄鋼メーカーもコメント要請には応じていない。

 USスチールは8月、クリーブランド・クリフスによる72億5000万ドルでの買収提案を拒否した。