Tuesday, November 12, 2024 6:12 AM
リチウムイオン電池の防火で新技術〜ソテリア・コンソーシアム
リチウムイオン電池の問題に取り組む業界連合ソテリア・バッテリー・イノベーション・グループ・コンソーシアム(Soteria BIG、本部サウスカロライナ州)は、プラスチック・フィルムを使ってリチウムイオン電池の安全性を大幅に高める技術を開発した。
◇ショートを隔離
プラスティック・トゥデイによると、この技術は、損傷、乱用、製造上の欠陥による電池の発火を90%以上削減できるという。電池内部でショート(短絡)が起きた場合、薄膜の表面にアルミニウムと銅を蒸着させたメタライズドフィルムがその周囲でヒューズのように燃え尽き、短絡部分を隔離して、損傷後も電池機能を継続させる。
さらに、この集電箔(はく)は従来の箔と比べて金属が約80%少なく、電池の重量エネルギー密度と体積エネルギー密度を高める。電池に使われる金属が減ることで、重量も15〜20%軽減される。
基盤となる絶縁材料にはいくつか候補があり、BOPETフィルムは最も一般的な素材の一つで、入手しやすく、内部ショートで発生する強力な電流で燃え尽きるという安全性を備えている。ただしPP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)も有望だという。
またソテリアは、リチウムイオン電池に使われている従来の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)多孔性配向フィルムに代わるセパレーター(絶縁膜)技術も開発した。不織布アラミド繊維構造をベースにしたこの「ドリームウィーバー(Dreamweaver)」技術は、熱安定性の改善で安全性がさらに高まり、電池の充電サイクル寿命が延び、製造工程における二酸化炭素(CO2)排出量が減る。「ドリームウィーバー」を採用した容量25Ahのパウチ形電池は、充放電約5000サイクルで80%の容量を維持し、18650円筒形電池は1000サイクルで80%の容量を維持した。