Friday, December 09, 2016 10:07 AM

平和条約、早期に締結を 共同宣言60年で元外交官

 日本と旧ソ連が国交を回復した1956年の日ソ共同宣言の交渉に関わった元外交官セルゲイ・チフビンスキー氏(98)が今月12日の共同宣言発効60年を前に共同通信と会見、日露間で平和条約が締結されていない現状について「60年を無駄にした」と述べ、「血の通った平和条約」を早期に結ぶよう訴えた。

 チフビンスキー氏は、共同宣言は「国交を回復させたが、それは全ての戦後処理を終えたことを意味しない。調印から60年たつのに平和条約に署名できていないのは異常で、非常に残念だ」と述べ、北方領土問題などが残ったことに無念さをにじませた。

 第2次大戦後にロンドンのソ連大使館で日ソ国交正常化交渉に関与、56年5月から日本に駐在し交渉の調整役を担ったチフビンスキー氏は当時の状況について「ソ連は日本に大きな敬意を持って接したが、国際情勢は両国関係の正常化を阻害し、真の善隣関係構築を妨げた国々もあった」と指摘。冷戦下でソ連と対立した米国などが日ソ接近を望まなかったことが原因と示唆し「私が生きているうちに平和条約の締結を見たい」と述べた。(共同)