Thursday, January 12, 2017 10:48 AM

「国境税」は法人税か トランプ氏が言及

 トランプ次期大統領が11日の記者会見で言及した海外移転企業への課税強化策は、直訳すると「国境税」となる。具体的な説明は避けたが、関税引き上げと同じ効果がある法人税改革を指すとの見方が出ている。米国の輸入企業は法人税が増え、輸出企業は税が軽減される仕組みだ。保護主義的な色彩から世界貿易機関(WTO)協定に抵触するとの指摘もある。

 トランプ氏は「border tax」(国境税)という表現を使った。東京財団の森信茂樹上席研究員は、一般的に物品の輸入時に課す関税を示す「import duty」などと違う点に注目し、法人税額を輸出入に応じて調整する制度を意図していると解説した。

 米国の税制改正は議会が大きな権限を持つ。上下両院で過半数を握る共和党が大統領選中に示した税制改正案によると、輸入代金は経費と認めず課税対象とするため、輸入企業の納税額が増える。一方、輸出で稼いだ収益は還付などで免税扱いとするため、輸出比率の高い企業ほど納税額は現在より減少する。(共同)