Tuesday, January 24, 2017 10:15 AM

日本は警戒、米は失望 TPP離脱で農業関係者

 環太平洋連携協定(TPP)から離脱する大統領令に署名したトランプ大統領は今後、日本に2国間の貿易交渉を迫る可能性が高い。日本の農業関係者にはより厳しい譲歩を求められかねないとの警戒感が強い。一方、TPPで早期に牛肉などの輸出拡大を見込めた米国の農業界では離脱に失望する声も広がっている。

 閣僚からは24日の記者会見で「粘り強く意義を訴えかける」(世耕弘成経済産業相)など2国間交渉や米国抜きのTPP発効に否定的な考えが相次いだ。ただ最大の貿易相手国で安全保障も依存する米国が2国間交渉を強く求めてきた場合、拒否できるかは不透明だ。鈴木宣弘・東大大学院教授は「即座に2国間交渉とはならないが、悠長に構えている時間はない」と述べ、米国第一を掲げるトランプ氏が強硬な姿勢を取ると予想する。

 もともとTPPに反対だった農業団体は米国の出方を警戒する。全国農業協同組合中央会(JA全中)の奥野長衛会長は「TPPで守り抜いたものはしっかり守ってほしい」と強調。だが農林水産省幹部は「米国との2国間交渉になれば、TPP以上の条件は勝ち取れない」と弱音を漏らす。(共同)