Wednesday, January 25, 2017 11:38 AM

財政健全化、達成困難に 20年度赤字、8.3兆円

 内閣府は25日、財政の健全性を示す国と地方の基礎的財政収支が、2020年度に8兆3000億円程度の赤字になるとの中長期財政試算を経済財政諮問会議で示した。アベノミクス失速による税収伸び悩みで、赤字額は昨年7月の試算から2兆8000億円も悪化した。安倍晋三首相は会議で、財政再建目標を堅持すると改めて訴えたが、基礎的財政収支を20年度に黒字にする政府目標の達成は極めて困難になった。

 基礎的財政収支は、社会保障などに必要な経費を借金に頼らずどのくらい賄えているかを示す。安倍政権は景気回復を優先し、消費税増税を2度延期したもののデフレ脱却に至っていない。昨年11月までの円高で法人税を中心に16年度の税収が想定を下回ったうえ、所得の伸びの鈍化から所得税収、消費税収も思うように増えず、将来にわたって歳入が下振れると見込んだ。

 安倍首相は「経済再生と財政再建、社会保障改革の三つを同時に実現しながら1億総活躍の未来を切り開いていかなければならない」と強調。所得環境を改善して低迷する個人消費を上向かせるため、経済界に対し「少なくとも昨年並みの水準の賃上げ」を改めて求めた。(共同)