Monday, February 27, 2017 11:11 AM

移民取り締まり強化で人手不足の懸念

 トランプ大統領が移民の取り締まり強化策を打ち出す中、農業、外食、建設など移民への依存度が高い業界では人手不足の懸念が広がっている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、これらの業界では長年、米国人がやりたがらない低賃金の肉体労働を移民に頼っており、その大部分を不法移民が占める。ホテルを専門とするカリフォルニアの建設会社R・D・オルソン・コンストラクションの社長は「以前から合法移民は不足しており、不法移民がこれ以上減ればいずれ工事に影響が出る」と心配している。

 農務省によると、国内には約110万人の農業労働者がいるが、この約4分の3は外国生まれで、半数近くは労働許可証を持っていない。またピュー・リサーチ・センターによると、2014年は建設労働者の13%、レストランを含むレジャー・ホテル業界労働者の9%が不法移民だった。

 社会の高齢化に伴う人手不足で移民への依存度はますます高まっており、ミシガン大学の労働経済学者ドナルド・グライムス氏は「多くの不法移民が国外退去になれば、大規模な人手不足が発生する」と見ている。

 国土安全保障省は「リソースが限られているため、取り締まりは公共の安全を脅かすリスクのある移民を重点にする」と説明するが、「取り締まりを優先するグループに入らないからといって国外退去を免れるわけではない」とも話している。

 カリフォルニアの移民法弁護士カミール・クック氏は、メキシコからの不法移民が多い地元の農業労働者のために即時対応チームを編成し、移民局の係官が来た時に行使できる権利などを労働者に助言している。

 中部カリフォルニア生産者/出荷者協会(GSA)も1月から、労働者の権利や現行の移民政策を含む取り締まりへの対応を助言しており、ジム・ボガート代表は1日の半分を生産者や取り締まり当局との電話応対に費やしている。