Wednesday, July 13, 2016 11:03 AM

富士山の保全策承認 世界遺産の登録継続

 トルコ・イスタンブールで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は13日午後(日本時間同日夜)、山梨、静岡両県がまとめた世界文化遺産「富士山」の保全状況報告書を承認した。周辺の開発抑制や混雑緩和に取り組む姿勢を評価、「持続可能な管理体制をつくった努力を歓迎する」とした。登録後初めての審査を通過し、世界遺産登録が継続することになった。

 世界遺産委は2013年の登録時、開発が盛んに行われ、年間20万〜30万人に上る登山者の混雑が常態化していることを問題視。観光と環境保全を両立させる全体構想や混雑緩和のための来訪者管理戦略を定めるとともに、信仰の対象や芸術作品の題材とされてきた歴史と個々の景勝地の関係などについて情報提供を強化するよう求めた。

 報告書ではこれに対応し、山梨県が富士五湖周辺の開発抑制を目指す条例を定めたことを説明し、1日当たりの登山者の適正数を18年7月までに定める方針を明記。両県に整備する世界遺産センターを中心に、歴史研究や情報提供などを進めていく計画も盛り込んだ。(共同)