Tuesday, March 21, 2017 10:41 AM

イラン、対米融和が袋小路 反発拡大、衝突偶発に懸念

 トランプ政権が強硬姿勢を鮮明にするイランで、2015年の米欧などとの核合意を受けた対米融和の機運が袋小路に陥っている。「むき出しの敵意」(専門家)への反発は、反米を旗印に掲げる保守強硬派だけでなく、米国への入国禁止令を機に一般市民にも急拡大。偶発的な軍事衝突のリスクに懸念も高まる。

 「米国に死を」。肌を刺す寒気の首都テヘランの広場で、星条旗が炎を上げはためいていた。興奮した群衆が連呼する反米スローガンは、演壇から核合意の成果を強調する穏健派ロウハニ大統領の声も一時かき消した。2月10日に催されたイラン革命記念日の式典だ。

 イランでは従来、対米批判は指導部によるプロパガンダの側面が濃かったが「国民からのボトムアップへと変化している。かつてない現象だ」(シンクタンク「国際危機グループ」のイラン専門家アリ・バエズ氏)。融和ムードを歓迎していた街頭でも、トランプ政権への強い嫌悪感が目立ちだした。(共同)