Tuesday, March 28, 2017 10:42 AM

世界初、他人のiPS移植 理研、目の病気に網膜細胞

 理化学研究所などのチームは28日、目の病気の患者に、他人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を移植する手術を実施したと発表した。他人のiPS細胞を使った移植は世界初。患者本人のものを使うより準備期間が短く、費用も安くなる利点がある。iPS細胞を使った日本発の再生医療の普及に向けた大きな一歩となる。

 理研の高橋政代プロジェクトリーダーらが、神戸市立医療センター中央市民病院で臨床研究として実施した。高橋氏は「標準的な治療にするための重要なステップになる」と強調した。

 チームは、網膜に障害が起き失明することもある「滲出型加齢黄斑変性」の兵庫県在住の60代男性に対し、iPS細胞から作った約25万個の網膜細胞を含む溶液を注射針で右目に注入。細胞が網膜に定着するのを待つ手法で移植した。手術は約1時間で終わり、手術自体に特に問題はなかったという。(共同)