Friday, May 05, 2017 10:43 AM

日中さや当て、連帯道半ば アジア金融協力

 アジアの金融協力は、危機時の円融通という新手法で合意し、安全網の強化でこれまでより一歩前進した。ただ今回の枠組みからは、国際秩序の主導権を争う日中のさや当ても浮かび上がる。日中韓を含むアジア全域の連帯という観点からは道半ばとなった。

 日本が東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との間で円融通の通貨交換に乗り出すのは、ドル資金の流出が引き金となった20年前のアジア通貨危機を教訓に、ドル依存体質を改める狙いがある。だが、そこには国際化を進めて影響力を強める中国の人民元に対抗する意図も見え隠れする。

 日中韓とASEANが加わる安全網「チェンマイ・イニシアチブ」の強化は今回、目立った進展がなかった。日中のつばぜり合いは、それぞれが主導するアジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)の勢力争いの形でも活発化している。足元のアジア経済が堅調なこともあり、日中が急いで歩み寄る機運は乏しい。(共同)