Friday, May 05, 2017 10:46 AM

ASEANに4兆円融通枠 政府、危機防止へ安全網

 日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)は5日、財務相・中央銀行総裁会議を横浜市で開き、金融危機に直面したASEAN各国に日本が円を融通する安全網を創設し、最大4兆円規模の通貨交換枠を設けることを決めた。中国と韓国を交えた会合も続けて開き、共同声明で「保護主義を含む政策の内向きシフト」を経済のリスクに挙げて警戒感を表明。日中韓3カ国は、緊迫する北朝鮮情勢を念頭に地政学的リスクに協調して対応していくことで一致した。

 一連の会合は4〜7日のアジア開発銀行(ADB)年次総会に合わせて開催。新興国から資金が流出し世界に混乱が広がった1997年のアジア通貨危機から20年の節目を迎え、再発を防ぐための安全網整備が焦点となった。円融通の枠組みを日本が主導し一定の前進を見せたが、日中韓とASEANの会合では具体的な進展はなかった。中韓と足並みをそろえて緊急時に対処する体制の強化に課題を残した。

 4兆円の通貨交換枠は、融通を受ける国の希望でドルと円を選択できる仕組みとする。日本にとっては円の影響力を高める狙いもあり、ASEAN各国と2国間で今後協議して実行に移す。(共同)