Wednesday, May 17, 2017 10:36 AM

危険な祖国、命からがら 増える中米の不法移民

 トランプ政権が不法移民取り締まりや送還を強化する一方、ギャングの抗争で治安悪化が著しい中米から、米国を目指す移民が止まらない。グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの3カ国が特に深刻。国際人権団体も「国から逃げるのが唯一の選択肢」と指摘する危険さで、命からがら国を後にした人々は「もう故郷には戻れない」と訴える。

 わずかな荷物を抱えて質素な服を着た人らを乗せ、タイヤで組んだいかだがひっきりなしに行き来する。グアテマラとメキシコの国境を流れるスチアテ川に監視はいない。渡し賃は約15ケツァル(約230円)。近くに正規に国境を越えるための橋があるが、人通りは少ない。「書類が必要」「高い金がかかる」。流れが緩やかな川は、歩いて渡っても違法だ。

 エルサルバドルのアクセル・ヤエルさん(22)もこうしてメキシコ南部タパチュラにたどりついた。3月末、残忍さで名高いギャング団「マラサルバトルチャ」が兄を殺害したのを目撃し、命を狙われた。自宅に押し入られ、はだしのまま逃げた。「戻れば死が待っている。トランプ政権が厳しいのは知っているが、米国で働きたい」(共同)