Wednesday, June 14, 2017 5:46 PM

危機前を上回る資産規模維持へ イエレン議長が記者会見

 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は14日、FRBの保有資産圧縮が「市場の混乱を招かないようにする」と述べ、開始時期や縮小ペースについて市場に事前に予告する姿勢を示した。最終的な保有資産の規模は金融危機前の水準よりも多くなるだろうとの考えも示した。危機前の保有資産規模が約9千億ドルだったことを考えると、資産圧縮の過程が終了した後も1兆ドル程度の資産を保持し続ける可能性がある。連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で述べた。

 資産圧縮の開始時期については「決まっていない」としたが「比較的早期に可能だ」と語った。資産規模の縮小は数年間かけて実施するとしたが、最終的に規模をどこまで縮小するかは具体的には「まだ協議していない」とした。

 今回のFOMCでは、3カ月ぶりで今年2回目となる利上げを決定した。議長は、米経済が1〜3月期の「減速から回復したとみられる」と述べ、個人や企業の景況感が引き続き上向いていることが利上げを決めた理由だと説明。労働市場は「最大雇用に近い状況だ」としたが、金融政策運営のもう一つの目安である物価上昇率については懸念を示した。物価上昇率の鈍化は「一時的だ」としながらも、賃金上昇のペースは遅く、物価上昇圧力が見受けられないと述べた。その上で「2%のインフレ目標を再検討するかどうかは世界の中銀にとって重要な課題だ」と述べ、将来的な2%目標の再考可能性を示唆した。(共同)