Friday, June 16, 2017 10:44 AM

米朝対話、機運見えず 解放学生、脳に重い損傷

 北朝鮮に拘束された米国人大学生が解放されたものの、脳に重度の損傷を負って昏睡状態が続いていることを受け、トランプ米政権は北朝鮮への反感を強めている。金正恩朝鮮労働党委員長は大学生解放により、核・ミサイル問題で緊張する米朝関係の局面転換を狙った可能性があるが、対話機運は見えないままだ。

 ワームビア氏の父親フレッド氏は15日、中西部オハイオ州ワイオミングで記者会見し、北朝鮮側が説明した昏睡状態に陥った経緯を「信じない」と訴え、不信感をあらわにした。「息子は北朝鮮で残忍な扱いを受け、恐怖に支配された」と強調。1年以上もワームビア氏が昏睡状態に陥っていたことについて「北朝鮮は長い間、医療の提供を拒否した」と非難した。

 北朝鮮側は、ワームビア氏が昨年、ボツリヌス菌による症状が出て体調を崩したなどと説明している。治療に当たるオハイオ州の大学病院の医師らによると、脳組織の大半が壊死。原因は不明だが「一定期間、脳に血液が送られなかった際に見られる症状」といい、ボツリヌス菌は検出されなかった。(共同)