Wednesday, June 21, 2017 10:55 AM

卵子に注入、5人誕生 ミトコンドリア不妊治療

 体外受精の際に母親本人の細胞内にあるミトコンドリアを卵子に注入する新たな手法で、4人の女性から5人の健康な子どもが生まれたと、大阪市の不妊治療クリニックが21日、発表した。カナダや欧州では250例を超す実施例があり、30人以上出生しているが、国内で子どもが生まれたのは初めて。妊娠率を高める効果があるとしているが、安全性や有効性は確かめられておらず、専門家からは疑問の声が上がっている。

 実施したのは「HORACグランフロント大阪クリニック」。治療は、卵巣から取り出した組織からエネルギーを作り出す役割のあるミトコンドリアを採取し、精子とともに卵子に注入する方法で行われた。森本義晴院長は「ミトコンドリアの注入で受精卵の質が上がり、妊娠率が向上した。効果が出るメカニズムは分かっていない」と話している。

 27〜46歳の33人の女性から組織を採取。このうち21人が受精卵を子宮に戻し、今年2〜6月に妊娠時に27〜36歳だった4人が一組の双子を含む計5人の子どもを出産した。出産時のトラブルはなく健康という。生まれた子の健康状態を5歳まで追跡し、安全性を確認するという。費用は1人につき約170万円。(共同)