Monday, June 26, 2017 11:37 AM

藻類の油分倍加を実現〜エクソンモービルとSGI

 エネルギー大手エクソンモービルと合成生物学の研究機関シンセティック・ジノミクス(SGI、カリフォルニア州)が、先進バイオ燃料の共同研究で、藻類に含まれる油分を2倍以上に増やすことに成功した。

 グリーンカー・コングレスによると、SGIの先進的な細胞工学技術を駆使することで、共同研究チームは藻類に含まれる油分を20%から40%以上に増加させたという。SGIの研究者は、ナンノクロロプシス・ ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)と呼ばれる藻類に含まれる炭素を油分に変換する遺伝子上のスイッチを特定することで、含油率を増加させる新しい工程を発見した。研究チームは、成長を継続させながら脂質を倍加させるという概念実証の手法を確立した。

 藻は油分を取り出すことで持続可能な燃料になると期待された。しかし、油を多く含んでしかも成長が早い品種を開発することが難しく、研究は数十年間ほとんど停滞している。過去の研究では、油の含有量を増やすとその副作用として藻の成長が鈍化するのではないかと考えられてきた。

 エクソンとSGIの共同研究の主な目的は、藻に含まれる脂質を増やすと同時に、藻の成長を抑えることなくでんぷんとタンパク質を減少させることだった。窒素のような栄養素を制限することが油分の生産量を増やすための1つの手段だが、そうすることで成長を阻むか、もしくは光合成さえ止めてしまうことで藻の成長が鈍化し、結局は油分の生産量も減少させる恐れがあった。

 しかし今回、藻の成長と含油量の増大を両立させたことは、大きな進歩といえる。藻は海水の中で栽培でき、過酷な環境でも繁殖するため、伝統的なバイオ燃料よりも利点が多い。