Monday, August 07, 2017 5:43 PM

日野原さん最後のエッセー よど号は人生最大の事件

 7月に105歳で死去した聖路加国際病院(東京)名誉院長、日野原重明さんが17年連載していた名物エッセー「生きかた上手」の最終回が載ったシニア女性向けの月刊誌「ハルメク」の9月号が10日、発売される。偶然乗り合わせ、人質となった「よど号ハイジャック事件」(1970年)を振り返る内容で、「人生における最大のターニングポイント」だったとしている。

 事件で4日間も機内に拘束された日野原さんは解放されたとき「月から還ってきたアポロ(宇宙船)の乗組員のような気持ちでした」とつづる。事件をきっかけに野心や欲が消え「この美しい世の中のために何かをしたい、と心から思った」と記し、ターニングポイントを「どのように受け止めるかで、人生の意味は変わってくる」と読者にアドバイスしている。

 最後の担当編集者で副編集長の岡島文乃さんによると、最終回の執筆は5月下旬。当時、岡島さんが見舞いに訪ねると、日野原さんは土産のもなかを少しだけ食べ、「一緒に写真を撮りましょう」と言ったという。(共同)